渡邉雅之弁護士が、平成25年7月5日(金)午前10時30分より、金融財務研究会において、『消費者集団訴訟への対処法』と題する講演を行います。
「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案」(「消費者集団訴訟法案」)が本年4月19日に閣議決定され、本通常国会に提出されております。法案では、過去の請求権には適用がないことが明記されるなど、事業者に対する配慮がなされていますが、これまでにない訴訟形態であるため、さまざまな角度からリスクについて分析をしておく必要があります。
本セミナーでは、消費者集団訴訟について、事業者側の立場から分析してきた講師が考えられ得る論点や具体的な事例などについてご説明いたします。
http://www.kinyu.co.jp/cgi/seminar/251250.html
1.これまでの経緯
(1)平成23年8月
「集団的消費者被害救済制度専門調査部会報告書」の概要
(2)平成23年12月
「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」の概要
2.法案の詳細解説
(1)手続の枠組み・概要
(2)特定適格消費者団体の要件_
〜弁護士会や「消費者」側弁護士が団体を組成できるか?
(3)一段階目の手続
(訴えの提起、共通争点に関する審理、判決以外の訴訟の終了、
判決、上訴)
(4)二段階目の手続
(簡易な手続の開始、対象消費者の加入、簡易な手続の審理、
決定、異議申立、訴訟手続における審理・判決等)
(5)公布後3年間の猶予期間(過去の請求権については
免罪符が与えられることに)
3.企業への実務上の影響と企業防衛のための方策
(1)濫訴の可能性
○消費者庁は濫訴の可能性がないと強調しているが・・?
クレサラ系法律事務所は特定適格消費者団体になれるか?
弁護士会による特定適格消費者団体の設立の可能性。
(2)対象となり得る事案の検討
○個人情報漏えい事案・有価証券報告書等の虚偽記載事案
○虚偽広告
○リコールをする場合
○仲介・媒介・卸売り事案
○過去の事案(過払金返還請求)は対象外に
(3)約款の見直しのポイント
○違約金条項の見直し
(適格消費者団体の苦情・差止請求に係る事例を分析)
(4)差止め請求の事案に適格機関消費者団体の訴えの
傾向と対策
(5)企業防衛のための事前のリスク管理の重要性
(6)企業に求められるクラス・アクションを提起された場合の
訴訟戦略
(7)民法(債権関係)改正の中間指針の与える影響
(8)公布後3年間のコンプライアンス体制の見直しが重要
〜質疑応答〜
【講師紹介】
1995年東京大学法学部卒業。特にコンプライアンスやリスク管理に関する
事案に多く携わり、専門誌への論文掲載も多数。
【関連著作・論稿】
『日本版クラス・アクション制度ってなに?』(共著、中央経済社)、
『「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」について』
(ビジネス法務2012年4月号)、
『日本版クラス・アクションへの防衛策:不当条項と判断されないための
約款の見直しポイント』(ビジネス法務2012年6月号、共著)、
『集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の概要』
(週刊金融財政事情2012年10月22日号)、
『消費者集団訴訟にどう対応するか-約款の見直しのポイント』
(ビジネス法務2013年7月号)、
『消費者集団訴訟制度のインパクト』
(週刊金融財政事情2013年6月3日号)。