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改正個人情報保護法ニュース�P:外国執行当局への情報提供

2016/05/03

(執筆者 渡邉雅之)
改正個人情報保護法ニュース�@:改正の概要とスケジュール
改正個人情報保護法ニュース�A:要配慮個人情報の取得制限と本人確認書類の取得に際しての実務上の影響
改正個人情報保護法ニュース�B:EUのデータ保護指令の要請による改正
改正個人情報保護法ニュース�C:匿名加工情報(ビックデータ)に関する改正
改正個人情報保護法ニュース�D:個人情報の定義の拡充
改正個人情報保護法ニュース�E:利用目的の制限の緩和
改正個人情報保護法ニュース�F:要配慮個人情報と機微情報(センシティブ情報)
改正個人情報保護法ニュース�G:第三者提供に係る確認及び記録の作成の義務付け
改正個人情報保護法ニュース�H:不正な利益を図る目的による個人情報データベース提供罪の新設
改正個人情報保護法ニュース�I:オプトアウトの要件の厳格化
改正個人情報保護法ニュース�J:外国にある第三者への提供の制限
改正個人情報保護法ニュース�K:国境を越えた個人情報の取扱いに対する適用範囲
改正個人情報保護法ニュース�L:小規模事業者の適用除外の廃止
改正個人情報保護法ニュース�M:個人データの消去の努力義務の追加
改正個人情報保護法ニュース�N:開示等請求権の明確化
改正個人情報保護法ニュース�O:個人情報保護委員会について

今回は、改正個人情報保護法により新たに設けられる「外国執行当局への情報提供」(改正個人情報保護法78条)についての規定について解説します。

〇改正の背景
近時、インターネット等を通じて、日本国外から、日本国内にある消費者に向けて、商品やサービス(役務)を提供する事業者が増えてきております。
「改正個人情報保護法ニュース�K:国境を越えた個人情報の取扱いに対する適用範囲」において解説したとおり、改正個人情報保護法においては、これらの国境を越えて商品・役務を提供する事業者にも個人情報保護法上の個人情報取扱事業者の義務規定を適用することになります(75条)。
しかしながら、個人情報保護委員会が、外国の事業者に対して、監督権限を発動するのは、当該外国の主権との関係で困難です。
そこで、外国の個人情報保護委員会に相当する当局(「外国執行当局」)に対してその外国の法律に基づく執行を依頼することができるようにするため、個人情報保護委員会が外国執行当局に必要な情報提供を行うための規定を設けることとしました。
OECDやAPECにおいても、外国の執行当局の間で執行協力の枠組みが設けられています。

〇改正の内容

(1)個人情報保護委員会は、個人情報保護法に相当する外国の法令を執行する外国の当局(「外国執行当局」)に対し、その職務の遂行に資すると認められる情報の提供を行うことができます(改正個人情報保護法78条1項)。
(具体例)
外国の個人情報取扱事業者が、日本国内の個人の個人情報を漏えいした場合、個人情報保護委員会が事案の詳細や被害にあった日本の個人の個人情報等を外国執行当局に提供することが考えられます。

(2)この情報の提供については、当該情報が当該外国執行当局の職務の遂行以外に使用されず、かつ、個人情報保護委員会の同意がなければ外国の刑事事件の捜査に使用されないよう適切な措置をとらなければなりません(同条2項)。

(3)個人情報保護委員会は、外国執行当局からの要請があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、提供した情報を当該要請をする外国の刑事事件の捜査等に使用することについて、法務大臣または外務大臣への確認を得た上で同意することができます(同条3項)。

�@当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪が政治犯罪であるとき、または当該要請が政治犯罪について捜査等を行う目的で行われたものと認められるとき。

�A当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪に係る行為が日本国内において行われとした場合において、その行為が日本の法令によれば罪に当たるものでないとき。
�B日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき。
(4)上記(3)の場合には、�@・�Aに該当しないことについては法務大臣に確認を、�Bに該当しないことついては外務大臣の確認を求めなければなりません(同条4項)。

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