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改正個人情報保護法ニュース�O:個人情報保護委員会について

2016/05/03

(執筆者 渡邉雅之)
改正個人情報保護法ニュース�@:改正の概要とスケジュール
改正個人情報保護法ニュース�A:要配慮個人情報の取得制限と本人確認書類の取得に際しての実務上の影響
改正個人情報保護法ニュース�B:EUのデータ保護指令の要請による改正
改正個人情報保護法ニュース�C:匿名加工情報(ビックデータ)に関する改正
改正個人情報保護法ニュース�D:個人情報の定義の拡充
改正個人情報保護法ニュース�E:利用目的の制限の緩和
改正個人情報保護法ニュース�F:要配慮個人情報と機微情報(センシティブ情報)
改正個人情報保護法ニュース�G:第三者提供に係る確認及び記録の作成の義務付け
改正個人情報保護法ニュース�H:不正な利益を図る目的による個人情報データベース提供罪の新設
改正個人情報保護法ニュース�I:オプトアウトの要件の厳格化
改正個人情報保護法ニュース�J:外国にある第三者への提供の制限
改正個人情報保護法ニュース�K:国境を越えた個人情報の取扱いに対する適用範囲
改正個人情報保護法ニュース�L:小規模事業者の適用除外の廃止
改正個人情報保護法ニュース�M:個人データの消去の努力義務の追加
改正個人情報保護法ニュース�N:開示等請求権の明確化

今回は、平成28年(2016年)1月1日に創設された「個人情報保護委員会」について解説いたします。

〇改正の背景
「改正個人情報保護法ニュース�B:EUのデータ保護指令の要請による改正」において説明したとおり、EUのデータ保護指令では、EU域内から個人データを第三国に移転できる場合について、EUから見て十分なレベルの保護措置を確保している場合に限定しています(「十分性の認定」)。
日本は現在のところ、「十分性の認定」の申請をしておりませんが、日本政府は、EUから十分性の認定を得るために必要な要件の一つとして、「独立した第三者機関の整備」について定める必要があると考えました。
そこで、2015年(平成27年)12月末まで、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(「番号法」)に関する所管官庁であった「特定個人情報保護委員会」を改組し、2016年1月から個人情報保護法も所管する「個人情報保護委員会」としたのです。
2015年(平成27年)12月末までは、個人情報保護法の所管官庁は消費者庁であり、同庁が同法の解釈権限を有しておりましたが、2016年(平成28年)1月1日以降は、個人情報保護委員会が有しております。

〇個人情報保護委員会の位置付け
個人情報保護委員会は、内閣府設置法に基づき内閣府の外局として位置付けられています(保護法50条1項)。
個人情報保護委員会の主務大臣は内閣総理大臣です(保護法50条2項)。
内閣府設置法49条3項に基づくものであり、組織としての独立性の高い『第三者委員会』に該当するとも言われております。
委員会の委員長や委員は職権行使の独立性が認められています(保護法53条)。
また、人格が高潔で識見の高い者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとされています(保護法54条2項)。

〇平成28年1月1日から改正個人情報保護法の全面施行日(平成29年9月8日までの政令で定める日)まで(第一段階の改正)
(1)委員会の任務
個人情報保護委員会の任務は以下のとおりです(保護法51条)。
�@個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するため、個人情報の適正な取扱いの確保を図ること
�A個人番号利用事務等実施者に対する指導及び助言その他の措置を講ずること
(2)委員会の所掌事務
個人情報保護委員会の所掌事務は以下のとおりです(保護法52条)。�A・�Bは番号法にのみ関連するものです。
�@基本方針の策定及び推進に関すること。
�A特定個人情報の取扱いに関する監視又は監督並びに苦情の申出についての必要なあっせん及びその処理を行う事業者への協力に関すること。
�B特定個人情報保護評価に関すること。
�C個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用についての広報及び啓発に関すること。
�D前各号に掲げる事務を行うために必要な調査及び研究に関すること。
�E所掌事務に係る国際協力に関すること。
�F前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき委員会に属させられた事務
個人情報委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、個人情報保委員会規則を定めることができます(65条)。
(3)監督権限
第一段階の改正においては、勧告・命令等の個人情報保護法に基づく監督権限は従前どおり主務大臣(各省庁)に属しています。

〇改正個人情報保護法の全面施行日(平成28年9月8日までの政令で定める日)以降
(1)所掌事務
所掌事務として以下の2つが追加されます。
_個人情報及び匿名加工情報の取扱いに関する監督並びに苦情の申出についての必要なあっせん及びその処理を行う事業者への協力に関すること。
_認定個人情報保護団体に関すること。
(2)監督権限
主務大臣による監督権限が廃止され、個人情報保護委員会が監督権限を有することになります。
_報告徴求・立入検査(全面施行後 改正個人情報保護法40条)
_指導・助言(同法41条)
_勧告・命令(同法42条)
なお、報告徴求・立入検査の権限については、「事業所管大臣」に委任することができることとされています(同法44条)
勧告・命令の監督権限は「事業所管大臣」に委任することはできません。
「事業所管大臣」は、改正前の「主務大臣」に相当するものが該当することになります。

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