TOPICS

トピックス・法律情報

【オープンAPI】銀行との契約締結義務・銀行による基準の公表義務

2018/04/09

執筆者:渡邉雅之(弁護士法人三宅法律事務所:パートナー弁護士)

(ニュースレター)
Miyake Newsletter(金融法務・FinTech研究会No3:【改訂版】電子決済等代行業者へのAPIの開放)
(連載記事)
【オープンAPI】「電子決済等代行業」の「銀行代理業」への該当性についてのガイドライン
【オープンAPI】電子決済等代行業に該当しない行為について
【オープンAPI】電子決済等代行業者の登録申請書の記載事項・添付書類
【オープンAPI】電子決済等代行業者の登録拒否事由・登録審査の留意事項
【オープンAPI】電子決済等代行業者の届出について
【オープンAPI】電子決済等代行業者が遵守する必要がある利用者の保護の義務
【オープンAPI】銀行との契約締結義務・銀行による基準の公表義務
【オープンAPI】施行期日・経過規定
(セミナー)
平成30年4月13日「オープンAPI・電子決済等代行業に関する法制度」(金融財務研究会)

 平成30年3月9日、金融庁は、パブリックコメントとして『「銀行法施行令等の一部を改正する政令等(案)について」を公表しました。同パブリックコメントは、平成29年6月2日に公布された「銀行法等の一部を改正する法律」(平成29年法律第49号)に基づき、銀行等の金融機関が、家計簿アプリ等に代表される口座管理や電子送金サービスをする電子決済代行業者に対して、API(Application Programming Interface)を開放(これを「オープンAPI」といいます。)する場合の基準や電子決済等代行業者の登録要件や行為規制等について定めるにあたっての、政令案・施行規則案・留意事項案などが示されています。オープンAPIに関する制度は、平成30年6月1日に施行する予定です。

 今回は、銀行との契約締結義務および銀行の基準の公表義務について説明いたします。

1 銀行との契約締結義務

(1)銀行との電子決済等代行業に係る契約の締結義務(銀行法52条の61の10第1項)

 電子決済等代行業者は、電子決済等代行業に係る行為(銀行法施行規則1条の3の3に規定する電子決済等代行業に該当しない行為を除く。)を行う前に、それぞれ当該各号の銀行との間で、電子決済等代行業に係る契約を締結し、これに従って当該銀行に係る電子決済等代行業を営まなければなりません。

 なお、経過規定により、契約締結義務は施行後2年以内の政令で定める日までは更新系APIに限られ、参照系APIについては猶予されます(附則2条4項)

 金融機関は、施行後2年以内の政令で定める日までに、利用者から当該利用者に係る識別符号等を取得することなく(※スクレイピングによることなく)当該銀行等に係る電子決済等代行業等を営むことができるよう、体制の整備に努めなければなりません(オープンAPIの体制整備の努力義務)(改正法附則11条)。

(2)銀行との電子決済等代行業に係る契約において定める事項(銀行法52条61の10第2項)

 銀行との電子決済等代行業に係る契約には以下の事項を定める必要があります。

�@電子決済等代行業の業務(当該銀行に係るものに限る。�Aにおいて同じ。)に関し、利用者に損害が生じた場合における当該損害についての当該銀行と当該電子決済等代行業者との賠償責任の分担に関する事項(同項1号)

�A当該電子決済等代行業者が電子決済等代行業の業務に関して取得した利用者に関する情報の適正な取扱い及び安全管理のために行う措置並びに当該電子決済等代行業者が当該措置を行わない場合に当該銀行が行うことができる措置に関する事項(同項2号)

�B当該電子決済等代行業者が電子決済等代行業再委託者の委託を受けて電子決済代行業に係る行為(銀行法施行規則1条の3の3に掲げる行為を除く。)を行う場合において、当該電子決済等代行業再委託者の業務(当該電子決済等代行業者に委託した業務に関するものに限る。)に関して当該電子決済等代行業再委託者が取得した利用者に関する情報の適正な取扱い及び安全管理のために当該電子決済等代行業者が行う措置並びに当該電子決済等代行業者が当該措置を行わないときに当該銀行が行うことができる措置に関する事項(同項3号、同法施行規則34条の64の16)

(3)契約の公表(同条、同法施行規則34条の64の17)

 銀行及び電子決済等代行業者は、電子決済等代行業に係る契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約の内容のうち上記(2)の�@から�Bまでに掲げる事項を、インターネットの利用その他の方法により、電子決済等代行業者の利用者が常に容易に閲覧することができるよう公表しなければなりません。

 契約書そのものを公表する必要はなく、上記(2)の�@から�Bまでに掲げる事項を分かりやすく公表すべきでしょう。

2 銀行による基準の公表
(1)銀行による基準の作成・公表義務(銀行法52条の61の11第1項、同法施行規則34条の64の18)
 銀行は、電子決済等代行業に係る契約を締結するに当たって電子決済等代行業者に求める事項の基準を作成し、インターネットの利用その他の方法により、電子決済等代行業者及び電子決済等代行業者の利用者が常に容易に閲覧することができるよう公表しなければなりません。
(2)銀行による基準に含まれる事項(銀行法52条の61の11第2項、同法施行規則34条の64の19)
 上記(1)の基準に含まれる事項は以下のとおりです。
�@銀行との電子決済等代行業に係る契約の相手方となる電子決済等代行業者が電子決済等代行業に係る業務に関して取得する利用者に関する情報の適正な取扱い及び安全管理のために行うべき措置(銀行法施行規則34条の64の19第1号)
�A銀行との電子決済等代行業に係る契約の相手方となる電子決済等代行業者が電子決済等代行業に係る業務の執行が法令に適合することを確保するために整備すべき体制(同条2号)
多くの金融機関は、一般社団法人全国銀行協会の「オープンAPIのあり方に関する検討会報告書」及び公益財団法人金融情報システムセンター(FISC)作成の「API接続チェックリスト」を作成して接続基準を作成するものと考えられます。
(3)不当差別の禁止(銀行法52条の61の11第3項)
 銀行は、銀行との電子決済等代行業に係る契約を締結するに当たって、上記(1)の基準を満たす電子決済等代行業者に対して、不当に差別的な取扱いを行つてはなりません。

当事務所では、銀行等の金融機関・電子決済等代行業者に対してオープンAPIに関する業務を提供しております。ご提供できる業務は下記の業務です。
‐ 電子決済等代行業に関する助言・コンサルティング
‐ 電子決済等代行業に関するシステムの要件定義に関するアドバイス
‐ 電子決済等代行業者との連携・協働に係る方針の作成の支援
‐ 電子決済等代行業に係る契約書の作成支援
‐ 電子決済等代行業の業務方法書・社内規程の雛型の作成支援
‐ 銀行による電子決済等代行業者に求める事項の基準の作成支援
ご連絡は下記にお願いいたします。
弁護士法人三宅法律事務所
渡邉雅之
03−5288−1021
m-watanabe@miyake.gr.jp

ACCESS 所在地
弁護士法人 三宅法律事務所  MIYAKE & PARTNERS

大阪事務所 OSAKA OFFICE

〒541-0042
大阪市中央区今橋3丁目3番13号
ニッセイ淀屋橋イースト16階
FAX
06-6202-5089

東京事務所 TOKYO OFFICE

〒100-0006
東京都千代田区有楽町1丁目7番1号
有楽町電気ビルヂング北館9階
FAX
03-5288-1025