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注意が必要なインターネット上での商品販売と特定商取引法

2022/07/15

(執筆者:弁護士 八木康友)
【Q.】
 当社では新規顧客の獲得を狙って、インターネット上での商品販売等を通じたEC市場への参入を検討しております。このようなインターネット上での商品販売等については特定商取引法による規制があると聞いたことがありますが、現在、どのような規制がなされているのでしょうか。
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【A.】
1.はじめに
 近年、商圏・販売チャネルの拡大、受発注業務の自動化、顧客獲得コストの低減などを目的として、インターネット上での商品販売等を検討する事業者が増えています。インターネット上での商品販売等については、その性質上、取引条件等に関する情報提供が限定的、かつ誤解を招きやすく、一般消費者が誤解等に基づいて契約を申し込むおそれがあります。そのため、特定商取引法は、そのようなインターネット上での商品販売等について「通信販売」の一類型として法規制を行っており、令和4年6月1日に施行される特定商取引法の改正(令和3年法律第72号)ではその規制を強化しています。
 そこで今回は、特定商取引法における「通信販売」規制の適用対象について整理したうえで、インターネット上で商品販売等を行う場合の注意点をご説明します。
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2.「通信販売」規制の適用対象
 「通信販売」規制は、「販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供」(特定商取引法2条2項)に該当する場合に適用されます。
 インターネット上で商品販売等を行う場合、基本的に、コンピュータ、タブレットやスマートフォンなどの「通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法」(同法施行規則2条)として、「郵便その他の主務省令で定める方法」によって申込みを受ける場合に該当します。そのため、適用除外(同法26条1項)される場合、例えば、取扱商材が適用除外される商品、役務、または特定権利(同法2条4項)である場合(同項6〜8号)などに該当しなければ、「通信販売」規制が適用されることになります。
 なお、取扱商材が適用除外されるものである場合には、他の法令による規制が存在する可能性が高いため、そちらの規制内容を確認する必要があります。
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3.「通信販売」規制とインターネット上での商品販売等
 特定商取引法は、従前、「通信販売」に関し、広告における各種事項の表示義務(同法11条)・誇大広告の禁止(同法12条)、商品等の提供に先立って対価を受領する際の申込みに対する承諾等の通知義務(同法13条)、顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止(同法14条1項2号、同法施行規則16条1項)などの規制を設けていました。
 そして、今回の法改正では、「通信販売」に関し、新たに、広告における申込期間の表示義務(同法11条4号)、申込みの撤回・契約解除を妨げるための不実の告知の禁止(同法13条の2)、「特定申込み」を受ける際の各種事項の表示義務(同法12条の6、15条の4)などの規制が追加されることとなりました。
 そのため、インターネット上で商品販売等を行う場合には、これらの規定に違反しないかを検討する必要があります。
 今回の法改正で新たに規制されることとなった「特定申込み」とは、販売業者等が「定める様式の書面により顧客が行う」申込み、または、販売業者等が「電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により顧客の使用に係る電子計算機の映像面に表示する手続きに従つて顧客が行う」申込みをいい(同法12条の6の1項)、インターネット上で申込みを受け商品販売等を行う場合もこれに該当します。販売業者等は、「特定申込み」を受ける場合、その申込み手続きを完了させる最終確認画面において、商品等の分量、対価、その支払方法・時期、申込期間などの事項を表示し(同1項)、それらの事項及び最終確認画面における操作の完了が申込みとなることについて人を誤認させるような表示をしないようにしなければなりません(同2項)。特に、サブスクリプションなどの定期購入契約の申込みを受ける場合には、その1回毎の量・期間、代金額、代金請求時期、商品等の提供時期などについて、誤認が生じない方法で表示する必要があります。
 なお、インターネット上で商品販売等が特定商取引法の各規定に違反するか否かの検討に当たっては、各規定の解釈運用に関する専門的な知見に基づく判断が必要となりますので、場合に応じて専門家に相談することをご検討ください。

以 上

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