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情報漏えいを厳罰化! 不正競争防止法の改正

2015/04/20

(執筆者:弁護士 西堀祐也)

【Q.】
企業情報の流出事件などを背景に、不正競争防止法の改正が成立したと聞きましたが、改正の概要を教えていただけないでしょうか。

【A.】
1.改正の趣旨
平成27年7月8日、不正競争防止法の一部を改正する法律が、第189回通常国会において、可決成立しました。
これは、近年、基幹技術をはじめとする企業情報の国内外への流出事案が相次いでいる中、これらの事案における被害金額の高額化、及び、情報を不正に取得する手口の高度化等に対応し、営業秘密侵害行為に対する抑止力の向上等を刑事・民事の両面で図るものです。

2.改正の概要
(1) 法定刑の引き上げ等(刑事面)
営業秘密侵害罪の罰金額の上限が、個人・法人ともに引き上げられました(21条1項、22条1項2号)。
また、海外での使用を目的として、営業秘密を不正取得する行為等についても、個人・法人ともにより重い処罰が可能となりました(21条3項、22条1項1号)。

 

現行

改正後(海外重課)

個人

1千万円

2千万円(3千万円)

法人

3億円

5億円(10億円)

さらに、営業秘密侵害罪が非親告罪に改められ、被害者の告訴がなくても公訴提起が可能となりました(21条5項)。これに加え、犯罪収益の没収が可能とされています(21条10項)。
(2) 処罰範囲の拡大(刑事面)
不正開示が介在したことを知って営業秘密を取得し、転売等を行う者が処罰対象に追加されました(21条1項8号)。この点、改正前の法では、営業秘密を不正に取得した行為者から直接に開示を受けた者に処罰対象が限定されていました。
また、日本国内の事業者が海外サーバーで管理している営業秘密の不正取得等に対応するため、海外における営業秘密の取得行為が処罰対象に追加されました(21条6項)。
さらに、営業秘密侵害の未遂行為が処罰対象に追加されました(21条4項)。
(3) 立証負担の軽減(民事面)
損害賠償請求等の民事訴訟における原告の立証負担を軽減するため、被告による営業秘密の使用を推定する規定が新設されました(5条の2)。
具体的には、被告が「物の生産方法等に係る技術上の秘密を不正取得したこと」及び「当該技術上の秘密の使用により生ずる物の生産等をしたこと」を、原告が立証した場合、「被告が当該技術上の秘密を使用して生産等をしたものと推定される」ことになります。
また、営業秘密侵害品の譲渡・輸出入等が不正競争行為として追加され、差止請求や損害賠償の対象となりました(2条1項10号)。

3.最後に
不正競争防止法の改正の成立により、今後、営業秘密侵害行為に対する抑止力の向上が期待できるものと思われます。なお、改正の詳細内容については、経済産業省のHP*もご参考ください。
*http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150313002/20150313002.html

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