_2021 年10月26日に実施した関連ウェビナーの動画解説と資料を掲載いたします
動画解説:プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律
解説資料:プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律
執筆者:渡邉雅之
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弁護士法人三宅法律事務所
弁護士渡邉雅之
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小売・外食事業者に求められる「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」に関する措置
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(令和3年6月11日法律第60号、令和4年4月1日施行予定)に関して、2021年10月8日に政令案・省令案のパブリックコメントがなされました。本ニュースレターでは、小売・外食事業者に求められる「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」に関する措置について解説いたします。
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〇法案等
https://www.env.go.jp/press/109195.html(以下「法」といいます。)
〇パブリックコメント
『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案」等に対する意見募集について』(2021年10月8日)
別紙1「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の政省令・告示について_
別紙2法律施行令案(仮称)・法律施行期日を定める政令案(仮称)_(以下「政令案」といいます。)
別紙3プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行規則案(仮称)_
別紙4プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に基づく指定調査機関等に関する省令案(仮称)_
別紙5特定プラスチック使用製品提供事業者の使用の合理化による排出の抑制に関する判断基準省令案(仮称)_(以下「判断基準省令案」といいます。)
別紙6プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断基準省令案(仮称)_
別紙7プラスチック資源の分別収集物の基準及び委託の基準に関する省令案(仮称)
別紙8プラスチックに係る資源循環の促進等を総合的かつ計画的に推進するための基本的な方針案(仮称)
別紙9プラスチック使用製品設計指針案(仮称)_
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_〇外食企業に関連がある部分
『第四章 特定プラスチック使用製品の使用の合理化(28条〜30条)』
1.事業者の判断の基準となるべき事項(法28条1項)
主務大臣(※1)は、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するため、主務省令で、その事業において「特定プラスチック使用製品」を提供する事業者(フランチャイザー(加盟者)を有するフランチャイジー(本部事業者)をを含む(※2))(「特定プラスチック使用製品提供事業者」)が特定プラスチック使用製品の使用の合理化によりプラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するために取り組むべき措置に関し、当該特定プラスチック使用製品提供事業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとされています。
(※1)本法における「主務大臣」は、「経済産業大臣」及び「環境大臣」です。ただし、「特定プラスチック使用製品の使用の合理化に関する事項」に関しては、「経済産業大臣」及び「特定プラスチック使用製品提供事業者が行う事業を所管する大臣」とされています。(法58条1項本文・2号)
(※2)法律上、フランチャイザー(本部事業者)は「定型的な約款による契約に基づき、当該業種に属する事業を行う者に特定の商標、商号その他の表示を使用させ、商品の販売又は役務の提供に関する方法を指定し、かつ、継続的に経営に関する指導を行う事業を行う者」と定義されています。
「定型約款」は2020年4月1日に改正法が施行された民法に設けられている制度ですが、定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいいます(民法548条の2第1項)。
フランチャイズ契約が「定型的な約款による契約」に該当しない場合のフランチャイザー(本部事業者)も含まれるのかパブリックコメントで質問することが考えられます。
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(1)特定プラスチック使用製品(政令案5条)
商品の販売又は役務の提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品のうち、提供量が多く使用の合理化の取組によってプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制が見こまれる観点、過剰な使用の削減を促すべき観点、代替素材への転換を促す観点等から、以下の製品が指定されています。
主としてプラスチック製のフォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、ヘアブラシ、櫛、剃刀、シャワー用のキャップ、歯刷子、ハンガー、衣類用のカバー
「主として」については、条文上解釈が示されていません。政令案・省令案のパブリックコメントで質問することが考えられます。
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(2)特定プラスチック使用製品提供事業者の業種(政令案6条)
特定プラスチック使用製品の提供量が多く、使用の合理化を行うことが特に必要な業種として、以下を指定されています。(主たる事業が下記の業種に該当しなくても、事業活動の一部で下記の業種に属する事業を行っている場合には、その事業の範囲で対象となります。)
各種商品小売業、各種食料品小売業、その他の飲食料品小売業、無店舗小売業、宿泊業、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業、洗濯業
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(3)判断の基準
�@目標の設定(判断基準省令案1条):
特定プラスチック使用製品提供事業者 は、特定プラスチック使用製品の使用の合理化を図るため、当該事業において提供する特定プラスチック使用製品の使用の合理化に関する目標を下記に示す方法によって定め、これを 達成するための取組を計画的に行わなければなりません。
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特定プラスチック使用製品の提供量(トン)
売上高、店舗面積その他の特定プラスチック使用製品の提供量と密接な関係をもつ値
特定プラスチック使用製品の提供に係る原単位
基準年度
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年度
�@
�B
(名称: )
(単位: )
�D(�@/�B)
目標年度
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年度
�A
�C
(名称: )
(単位: )
�E(�A/�C)
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変化率(�A/�@×100)
変化率(�C/�B×100)
変化率(�E/�D×100)
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�A特定プラスチック使用製品の使用の合理化(判断基準省令案2条)
特定プラスチック使用製品提供事業者 は、次に掲げる取組その他の特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組を行うことにより、プラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制しなければなりません。
【提供方法の工夫】
〇商品の販売又は役務の提供に際しては、消費者にその提供する特定プラスチック使用製品を有償で提供すること
〇消費者が商品を購入し又は役務の提供を受ける際にその提供する特定プラスチック使用製品を使用しないように誘引するための手段として景品等を提供(ポイント還元等)すること
〇その提供する特定プラスチック使用製品について消費者の意思を確認すること
〇その提供する特定プラスチック使用製品について繰り返し使用を促すこと。
【提供する特定プラスチック使用製品の工夫】
〇薄肉化又は軽量化等の特定プラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類(再生可能資源、再生プラスチック等)について工夫された特定プラスチック使用製品を提供すること
〇適切な寸法の特定プラスチック使用製品を提供すること
〇繰り返し使用が可能な製品を提供すること
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�B情報の提供(判断基準省令案3条)
消費者によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制を促進するための情報等について、以下の方法又はその他の措置を講ずることにより情報提供します。
店頭においてプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制に資する事項を掲示すること
特定プラスチック使用製品提供事業者自らが特定プラスチック使用製品の使用の合理化のために実施する取組の内容をウェブサイト等に公表すること
提供する特定プラスチック使用製品にプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制の重要性についての表示を付すことその他の措置を講ずること
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�C体制の整備等(判断基準省令案4条)
特定プラスチック使用製品提供事業者は、特定プラスチック使用製品の使用の合理化を図るため、�@特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組に関する責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、�Aその従業員に対し、特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組に関する研修を実施する等の措置を講じなければなりません。
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�D安全性等の配慮(判断基準省令案5条)
特定プラスチック使用製品提供事業者 は、「特定プラスチック使用製品の合理化」(上記�A:判断基準省令案2条)に基づき実施する取組により特定プラスチック使用製品の使用の合理化を図る際には、その提供する特定プラスチック使用製品に関し、その安全性、機能性その他の必要な事情に配慮しなければなりません。
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�E特定プラスチック使用製品の使用の合理化の実施状況の把握等(判断基準省令案6条)
提供した量並びに特定プラスチック使用製品の使用の合理化のために実施した取組及びその効果を適切に把握し、情報を公開するよう努めるものとする。
特定プラスチック使用製品提供事業者 は、その事業において「特定プラスチック使用製品を提供した量」並びに「特定プラスチック使用製品の使用の合理化のために実施した取組及びその効果」を適切に把握し、情報を公開するよう努めなければなりません。
�F関係者との連携(判断基準省令案7条)
特定プラスチック使用製品提供事業者は、特定プラスチック使用製品の使用の合理化のための取組を効率的に行うため、国、関係地方公共団体、消費者、関係団体及び関係事業者との連携を図るよう配慮しなければなりません。その際、必要に応じて取引先の協力を求めなければなりません。
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2.基準の策定・必要な改定(法28条2項〜4項)
「事業者の判断の基準となるべき事項」(上記1)は、基本方針に即し、かつ、特定プラスチック使用製品の使用の合理化の状況、特定プラスチック使用製品の使用の合理化に関する技術水準その他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。(法28条2項)
主務大臣は、「事業者の判断の基準となるべき事項」を定め、又はその改定をしようとするときは、あらかじめ、環境大臣に協議しなければならない。(法28条3項)
主務大臣は、「事業者の判断の基準となるべき事項」を定め、又はその改定をしたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。(法28条4項)
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3.指導及び助言(法29条)
主務大臣は、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するため必要があると認めるときは、特定プラスチック使用製品提供事業者に対し、「事業者の判断の基準となるべき事項」(上記1)を勘案して、特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制について必要な指導及び助言をすることができる。
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4.勧告及び命令(法30条)
(1)特定プラスチック使用製品多量提供事業者への勧告・命令(法30条1項、政令案7条)
主務大臣は、特定プラスチック使用製品提供事業者であって、その事業において提供する「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」(=「特定プラスチック使用製品提供事業者」のうち、その事業において前年度において提供した「特定プラスチック使用製品の量」が「5トン以上」であるもの)の特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制の状況が「事業者の判断の基準となるべき事項」(上記1)に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」に対し、その判断の根拠を示して、特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができます。
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(2)フランチャイザー(本部事業者)におけるフランチャイジー(加盟者)の提供する特定プラスチック使用製品の量の勘案(法30条2項、判断基準省令案8条)
上記(1)に関して、フランチャイザー(本部事業者)が「特定プラスチック使用製品の量」(=当該年度の前年度において提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上)に該当するかの判断(すなわち、「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」に該当するかの判断)には、フランチャイジー(加盟者)の事業において提供する特定プラスチック使用製品の量を含む場合があります。
具体的には、フランチャイザー(本部事業者)とフランチャイジー(加盟者)の契約が「定型的な約款」による契約に基づき、特定の商標、商号その他の表示を使用させ、商品の販売又は役務の提供に関する方法を指定し、かつ、継続的に経営に関する指導を行う事業であって、当該約款に、以下の事項が定められている場合です。
�@特定プラスチック使用製品 に関し、本部事業者が加盟者を指導又は助言する旨の定め
�A特定プラスチック使用製品に関し、本部事業者及び加盟者が連携して取り組む旨の定め
�B本部事業者と加盟者との間で締結した約款以外の契約書に�@又�Aの定めが記載され、当該契約書を遵守するものとする定め
�C本部事業者が定めた環境方針又は行動規範に�@又は�Aの定めが記載され、当該環境方針又は行動規範を遵守するものとする定め
�D特定プラスチック使用製品に関し、法に基づきプラスチックに係る資源循環の促進等のための措置を講ずる旨が記載された、本部事業者が定めたマニュアルを遵守するものとする定め
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※フランチャイザー(本部事業者)とフランチャイジー(加盟者)は「定型的な約款」ではない、個別契約(フランチャイズ契約)を締結する場合もありますが、このような場合も本条(法30条2項)の対象となるのかパブリックコメントで確認することが考えられます。
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(3)勧告に従わなかった特定プラスチック使用製品多量提供事業者の公表(法30条3項)
主務大臣は、上記(1)の勧告を受けた特定プラスチック使用製品多量提供事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができます。
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(4)措置命令(法30条4項、62条、66条)
主務大臣は、上記(1)の勧告を受けた特定プラスチック使用製品多量提供事業者が、上記(3)の勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制を著しく害すると認めるときは、大臣ごとに以下の審議会の意見を聴いて、当該特定プラスチック使用製品多量提供事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができます。
厚生労働大臣
厚生科学審議会(調整中)
農林水産大臣
食料・農業・農村政策審議会(調整中)
経済産業大臣
産業構造審議会
国土交通大臣
交通政策審議会
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5.罰則
措置命令違反の特定プラスチック使用製品多量提供事業者には、当該違反行為をした者は、50万円以下の罰金に処せられます(法62条)。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、当該違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科します。(法66条)