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労働者派遣の業務単位による受入期間制限の撤廃

2014/04/16

(執筆者:弁護士 竹田千穂)

【Q.】
 最近の報道で、来年の労働者派遣法改正によって、すべての業務において原則、3年ごとに人を交代すれば、派遣労働者に仕事を任せ続けられるようになる見込みだと聞きました。その内容と、注意すべき点について教えてください。

【A.】
1.はじめに
 厚生労働省の労働政策審議会の部会は、平成26年1月29日、厚生労働大臣に対し、平成27年4月の施行を目指す「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」)の改正に関する最終報告書*1を提出しました。同報告書に沿った改正法案が、現在開会中の国会に提出される予定です。
 最終報告書の詳細は下記URLをご覧ください。
 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11654000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Jukyuchouseijigyouka/0000036087.pdf

2.報告書の骨子
 本報告書は、基本的な考え方として、労働者派遣事業が労働力の需給調整において重要な役割を果たしていることを評価したうえで、雇用の安定と処遇の改善を進めていく必要があること等を示したものです。その具体的措置として、�@登録型派遣・製造業務派遣を原則禁止しない、�Aすべての労働者派遣事業を許可制にする、�B業務単位による期間制限を撤廃する、�C直接雇用を推進する、�D派遣先企業の責任について周知等を行う、�E派遣労働者の処遇を改善する、�F派遣労働者のキャリアアップを支援する、等を講じるものとしています。
 今回はこの中から、�B業務単位による期間制限の撤廃についてご説明します。

3.業務単位による期間制限の撤廃
 これまでは、通訳や秘書などのいわゆる「専門26業務」を除き、企業が派遣労働者に仕事を委ねることができるのは最長3年という期間制限がありました。これは、労働者派遣法が、派遣労働を臨時的・一時的な働き方と位置づけることを原則としていることによるものです。
 しかし、具体的にどのような仕事が「専門26業務」に該当するのかが不明確であり、業務単位での期間制限がわかりにくい等の問題があったことから、本報告書では、業務単位による期間制限を撤廃し、人ごとに期間制限を設けることとしました。すなわち、派遣先企業は、派遣元事業主との間で有期の雇用契約を結んでいる派遣労働者につき、同一の組織単位において、同じ者を3年を超えて継続して受け入れることができません(例外として、無期雇用の派遣労働者や60歳以上の高齢者等は、期間制限の対象から除外されます)。逆に言えば、派遣先企業は3年ごとに人員を交代させることにより、派遣労働者に同一の仕事を任せ続けられるようになります。
 もっとも、本報告書も、派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限るとの原則を変更するものではないため、派遣労働が正社員の雇用を代替してしまわないよう、人員を交代して派遣労働者に同じ仕事を任せ続ける場合には、過半数労働組合に意見を聞くよう派遣先企業に求めています。
 そして、派遣元事業主は、派遣労働者が3年働いた時点で引き続き就業することを希望する場合には、 �@派遣先企業に直接雇用を依頼する、�A新たな就業機会(派遣先)を提供する、�B派遣元事業主において無期雇用に転換する等の措置を講じることにより、雇用の安定を図る必要があります。

4.おわりに
 本報告書に沿った労働者派遣法の改正が行われれば、派遣先企業は今よりも派遣労働者を活用しやすくなり、派遣労働者は雇用の安定が図られます。その一方で、派遣元事業主は負担が増えると予想されます。

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