(執筆者:弁護士 深津雅央)
【Q.】
出張した従業員が所定労働時間内に取引先との打ち合わせを終えましたが、出張先が遠方であったため、戻りの新幹線の移動中に所定労働時間外となりました。こうした移動時間については、残業代を支払わなくてもよいのでしょうか。
また、出張が多い営業職等には「事業場外労働のみなし制」という制度があると聞きました。この制度はどのような場合に適用できるのでしょうか。
【A.】
1.移動時間の賃金支払義務
移動時間に賃金の支払義務が生じるか否かは具体的な事案によりますが、特定の用務を行わない移動時間については賃金の支払義務を負わないとする考え方が一般的です。しかし、出張の事前準備や事後報告の作成等に移動時間を費やしている場合などは賃金の支払義務が生じ、それが所定労働時間外であれば時間外手当の支払義務を負うと考えられます。以下に詳しく説明します。
<労働時間とは>