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『インターネット消費者取引における景品表示法上の留意点』

2012/08/27

(執筆者:弁護士 岸野 正)

【Q.】
当社の製品やサービスを多くのお客様に利用いただけるよう、インターネットを利用した新しい取引を検討しています。表示方法について、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)上の留意点はありますか?_

【A.】
インターネット消費者取引と景品表示法との関係に関しては、平成14年6月に「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」(公正取引委員会、平成15年8月一部改定)により、基本的な考え方が提示されています。しかし今般、新たなサービス類型について、消費者庁から「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(平成24年5月一部改定)*が公表されましたので、以下、主な類型の概要を説明します。
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/100121premiums_38.pdf

<類型�@ フリーミアム>
基本的なサービスを無料で提供し、付加的なサービスを有料で提供して収益を得るビジネスモデルを指します。このようなサービスでは、実際には付加的なサービスを利用するためには利用料の支払いが必要であるにもかかわらず、付加的なサービスも含めて無料で利用できるとの誤認(例えば、付加的なサービスと区別しないで「完全無料」等と表示)を消費者に与えないよう、無料で利用できるサービスの具体的内容・範囲を正確かつ明瞭に表示する必要があります。
<類型�A 口コミサイト>
商品・サービス等に関する評判や噂といった情報を掲載するインターネット上のサイトを指します。事業者が顧客を誘引するため、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、または第三者に依頼して掲載させる場合には、消費者に当該口コミ情報が、実際のサービス内容や競争者に係るものよりも著しく優良または有利であるとの誤認(例えば、実際には使用していないのに「さすが○○産のお肉」等と表示)を与える表示を行わないようにする必要があります。
<類型�B フラッシュマーケティング>
商品・サービス価格の割引等のクーポンを、一定数量、期間限定で販売するビジネスモデルを指します。消費者が、クーポン発行会社のサイトを利用してクーポンを購入する際、「通常価格」と「割引価格」の二重価格を表示する場合には、最近相当期間に販売実績のある同一商品・サービスの価格を比較対照価格に用いるか、比較対照価格の内容を具体的に表示する必要があります。また、商品・サービスの品質等に係る表示を行う場合には、実際とは異なる品質を表示して、消費者に実際のものよりも著しく有利または優良との誤認を与える表示を行わないようにする必要があります。
<類型�C アフィリエイトプログラム>
広告を掲載するウェブサイトに、商品・サービスのバナー広告等を掲載し、当該サイトの閲覧者がバナー広告等をクリックしたり、広告主の商品・サービスを購入するなどした場合に、広告掲載者に報酬が支払われるというビジネスモデルを指します。バナー広告において、二重価格表示を行う場合には、上記<類型�B>と同様な留意が必要ですし、商品・サービスの効能・効果を標ぼうする場合には、十分な根拠なく効能・効果があるかのように消費者に誤認される表示を行わないようにする必要があります。
上記の留意事項に違反した行為は、景品表示法上の不当表示に該当するおそれがあります。不当表示に該当する場合、消費者庁は、事業者に対し、当該違反行為の差し止めや再発防止等の措置命令を行うことができ(景品表示法12条1項、6条)、さらに事業者がその命令に従わない場合には、行為者に対し、2年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科可)、また当該事業者に対し、3億円以下の罰金が科せられる場合がありますので(同法15条、18条)、ご留意ください。_

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