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ハローワークで求人不受理も? マタハラ防止措置の新設義務

2017/01/30

(執筆者:弁護士 雑賀裕子)

【Q.】
男女雇用機会均等法の改正に伴い、事業主はマタハラ防止措置の新設義務を負うことになりましたが、具体的に何をすればよいのかわからず困っています。

【A.】
1.はじめに
平成29月1月1日に改正男女雇用機会均等法等が施行され、すべての事業主に対し、上司・同僚からの妊娠・出産等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ等)を防止する措置を講じることが義務付けられます(2016.8.26掲載「視点」参照)。これを受け、平成28年8月2日、厚生労働省は「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」を公布しました。本指針は、1月1日までに事業主が講ずべき措置につき、具体例を挙げて解説したものです。以下、主な内容をご紹介します。
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2.事業主が講ずべき主な措置
(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
イ)「妊娠・出産等に関するハラスメントの内容」「妊娠等に関する否定的な言動がハラスメントの発生の原因や背景等となり得ること」「ハラスメントがあってはならない旨の事業主の方針」「妊娠等に関する制度等の利用ができる旨」を明確化し、労働者に周知・啓発する。
【実務対応例】�@就業規則等で事業主の方針及び制度等の利用ができる旨を規定し、当該規定と併せて、ハラスメントの内容及びハラスメントの背景等を周知・啓発する。�Aハラスメントの内容及びハラスメントの背景等、事業主の方針並びに制度等の利用ができる旨について、社内報・社内HP等に記載、配布する。�B前記�Aの内容について研修等を実施する。
ロ)ハラスメントを行った者を厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則等に規定し、周知・啓発する。
【実務対応例】就業規則等で行為者への懲戒規定を定め、その内容を周知・啓発する。
(2)相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
イ)相談窓口をあらかじめ定める。
【実務対応例】�@相談に対応する担当者をあらかじめ定める。�A相談対応のための制度を設置する。�B外部機関に相談への対応を委託する。
ロ)担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにする。
【実務対応例】�@担当者が相談内容や状況に応じて、人事部門と連携を図ることができる仕組みをつくる。�Aあらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応する。
(3)事後の迅速かつ適切な対応
イ)相談の申し出があった場合に、事実関係を迅速・正確に確認する。
【実務対応例】�@担当者等が、相談者・行為者から事実関係を確認し、双方の主張に不一致があり十分に確認できない場合は、第三者からも聴取する等の措置を講ずる。�A事実確認が困難な場合等は、男女雇用機会均等法18条の調停その他中立な第三者機関に紛争処理を委ねる。
ロ)ハラスメントの事実が確認できたときは、速やかに、被害者への配慮措置を適正に行う。
【実務対応例】�@職場環境の改善または迅速な制度等の利用に向けての環境整備、行為者との関係改善に向けての援助、行為者の謝罪、メンタルヘルス不調への相談等の措置を講ずる。�A第三者機関の紛争解決案に従った措置を被害者に対し講ずる。
ハ)行為者への措置を適正に行う。
【実務対応例】�@就業規定等に基づき必要な懲戒等の措置を講じ、被害者との関係改善に向けての援助、謝罪等の措置を講じる。�A第三者機関の紛争解決案に従った措置を行為者に対し講ずる。
二)再発防止措置を講ずる。
【実務対応例】�@事業主の方針や行為者を厳正に対処する旨の方針等を社内報等に改めて記載。�Aハラスメントに関する意識啓発のための研修等を改めて実施する。
(4)ハラスメントの原因等となる要因の解消のための措置
業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者その他の労働者の実情に応じ、必要な措置を講ずる。
【実務対応例】妊娠等した労働者の周囲の労働者への業務の偏りを軽減するよう、適切に業務分担の見直しを行う。
(5)(1)〜(4)までの措置と併せて講ずべき措置
イ)相談者・行為者等のプライバシー保護のための必要な措置を講じ、労働者に周知・啓発する。
【実務対応例】プライバシー保護のための必要事項をあらかじめマニュアルに定め、これに基づき対応する。
ロ)ハラスメントの相談をしたこと、または事実関係の確認に協力したこと等を理由に不利益な取り扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発する。
【実務対応例】社内報等に記載する。
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3.おわりに
以上は本指針の内容の要約ですので、詳細は厚労省のHP(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html)でご確認ください。
なお、厚労省はマタハラ防止措置を講じなかった企業の求人をハローワークで受理しないよう制度を改める方針との新聞報道(『日本経済新聞 朝刊』2016年11月6日付)もありますので、くれぐれもご留意ください。

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