(執筆者:渡邉雅之)
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コーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」といいます。)において要請される取締役会全体の実効性についての分析・評価(以下「取締役会評価」といいます。)は、まだ確立された方法論もなく、企業が頭を悩まされているところです。以下では、筆者が社外取締役として実際に関与した株式会社王将フードサービス(以下「OFS」といいます。)における実例を中心に解説をします。
(OFSの取締役会評価)
平成28年3月11日「当社の取締役会評価の結果の概要」
平成28年4月12日「当社の取締役会評価の結果の概要(改訂版) 」
平成28年6月13日「当社の取締役会評価の結果の概要(再改訂版)」
平成28年7月12日「当社の取締役会評価の結果の概要(第三改訂版)」
また、「取締役会評価規程」、「質問票」、「質問票集計結果(雛型)」のワードファイル・エクセルファイルもご参考に添付します。(すべて、平成28年3月29日の「当社の取締役会評価の結果の概要」に公表されています。)
〇取締役会評価規程
〇取締役会評価の質問票
〇質問票集計結果(雛型)
I 取締役会評価の位置付け
CGコードの補充原則4−11�Bにおいては、「取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要を開示すべきである。」とされています。
CGコードの諸原則については、いわゆる「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法が採られている。東京証券取引所が、東証1部・2部の上場会社(「原則」及び「補充原則」は、東証1部・2部の上場会社はこれを満たすことが求められるが、マザーズ及びJASDAQの上場会社はこれを満たすことは求められていません。)(1,858社)の2015年末までに提出されたコーポレートガバナンス報告書を分析したところ、CGコードの全73原則(基本原則5原則、原則30原則、補充原則38原則)のうち、「説明」(エクスプレイン)率が最も高い、すなわち、まだ実施していないのは、取締役会評価であり、63.6%(1,858社中1,182社)となっていました(東京証券取引所『コーポレートガバナンス・コードへの対応状況 (2016年12月末時点)』)。
この点、2016年7月時点では、「実施」が1,245社、「説明」が1,017社となり、「説明率」は、45.0%まで低下(18.7%低下)し、説明率が一番高い原則は、「議決権の電子行使のための環境整備(例:議決権電子行使プラットフォームの利用 等)、招集通知の英訳」(補充原則 1−2�C)となりました(東京証券取引所『コーポレートガバナンス・コードへの対応状況 (2016年7月時点)』)。
もっとも、残念ながら、全く取締役会評価を行っていないにもかかわらず、「実施」としている会社が増えていることが懸念されます。
II OFSのコーポレートガバナンス体制
OFSは、平成25年12月19日に就任した渡邊直人社長の下、従来の属人的な組織から脱却し、コーポレートガバナンスを最重視する体制整備の議決権の電子行使のための環境整備(例:議決権電子行使プラットフォームの利用 等)、招集通知の英訳を図ってきました。
平成26年6月の定時株主総会では、従前は1名であった社外取締役を合計2名に増員し、さらに、平成27 年6月の定時株主総会では、多様性を図るため、女性の独立社外取締役を登用して合計3名としました。
また、従前は12名の取締役の体制であったが、平成27 年6月の定時株主総会より、意思決定と業務執行の分離と責任の明確化を目的とする執行役員制度を導入して、取締役を独立社外取締役3名を含む8名へと減員しました。
さらに、平成27 年6月26 日の定時株主総会後の取締役会決議により、取締役会の傘下に、任意の機関として独立社外取締役で構成される独立社外取締役会を設置し、さらに、取締役、監査役、執行役員の人事に関する指名諮問委員会、及び取締役、執行役員の報酬に関する報酬諮問委員会を設置し、いずれも委員長を独立社外取締役としている。独立社外取締役会には筆頭社外取締役を置いています。
取締役会の決議により、代表取締役の就任期間は通算して6年以内、社外取締役の就任期間は通算して8年以内としています。
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III OFSの取締役会評価(自己評価)
1 OFSの取締役評価の結果の概要
OFSは、平成28年3月11日に、取締役会評価の結果の概要(「当社の取締役会評価の結果の概要について」)を開示しました。
取締役会評価の結果についてはその概要を開示すれば足りるが、同時期に開催されていた第三者委員会において、OFSのコーポレートガバナンスについて評価・検証が行われていた中で(調査報告書は、平成28 年3月29日に開示)、OFSの取締役会による経営の透明性を図ることが特に重要であるという認識の下、取締役会評価の結果の概要(全2頁)だけでなく、その元となった「取締役会評価報告書」(全24頁)も開示しました。
さらに、「取締役会評価報告書」の別添として、「取締役会評価に関する規程」(全2頁)、「取締役会評価に関する質問票」(全19頁)、「質問票の集計結果」(全7頁)も併せて開示し、プロセスを透明化しました。
2 コーポレートガバナンス報告書
OFSにおいては、従前、取締役会評価は行っておらず、平成27年12月11日の取締役会において承認されたコーポレートガバナンス報告書においては、「説明(エクスプレイン)」として、「当社では、平成28年度以降、社外取締役や監査役会を中心として、前年度の取締役会の運営に関し、取締役会の実効性の分析・評価を実施」することと記載しました。
3 自己評価
平成27 年12 月11 日の取締役会において、コーポレートガバナンス報告書を承認するにあたって、社外取締役や監査役会を中心とした自己評価とするか、外部のコンサルタントによる外部評価とするかについて議論されました。
結論的には、OFSにおいては、独立社外取締役や監査役会といった社外機能が健全に機能していると考えられることや、外部のコンサルタントよりも内部の事情に精通していること等、自己評価による方がメリットは大きいと判断しました。
4 取締役評価の主体
平成28 年1月14 日の取締役会の審議の中では、独立社外取締役会のほか、監査役も取締役会評価の主体となることや質問票に回答することも検討されましたが、「監査役は取締役会の構成員でない」、「監査役は取締役の職務の執行が法令定款に反していないかという観点から監査することが本来的な職務である」との意見が多く、独立社外取締役3名から構成される独立社外取締役会のみが主体となり、質問票も独立社外取締役を含む取締役のみが回答をすることとなりました。
5 取締役会評価に関する規程
OFSは、平成28年1月14日の取締役会において、「取締役会評価に関する規程」を実施することを決議しました。
同規程においては、�@取締役会評価の主体が独立社外取締役会であること、�A独立社外取締役会の役割として、取締役会評価のスケジュール・質問票の策定、質問票の配布・回収、インタビューの実施、報告書の策定をすること、�B総務部が事務局となること、�C質問票の分析結果・インタビューの結果に基づき、取締役会評価の報告書を策定すること、�D取締役会は報告に基づき、取締役会全体の実効性についての結論を決定し、次事業年度の目標(アクション・プラン)を設定すること等が規定されています。
6 質問票
独立社外取締役会は、CGコードで求められている内容等を基に、質問票を作成した。代表取締役社長及び社外取締役の就任期間に関する質問等、CGコードにはないOFS固有の事項に関しても質問しています。
その質問項目は、�@取締役会の構成に関する質問(6問)、�A取締役会の運営に関する質問(9問)、�B取締役会の議題に関する質問(13問)、�C取締役会を支える体制に関する質問(8問)から構成されています(質問事項は下表参照)。
各質問事項については、「�@非常に適切である。」、「�A一応適切である。」、「�B不十分である。」「�C全く適切でない。」等の4段階の評価または「�@適切である。」、「�A適切でない(多すぎる。)」、「�B適切でない(少なすぎる。)。」等の3段階の評価を選択することとされ、また、コメント(「理由・改善すべき点」)等を記載する欄が設けられています。
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〇質問票における質問事項
第1 取締役会の構成に関する質問
1.取締役会の人数は適切か。
2.取締役会の構成員(監査役を含む。)は多様性(知識・経験・能力、性別、国籍、年齢、その他のバックグラウンド)が適切に確保されているか。
3.社外取締役の人数・割合は適切か。
4.社外取締役は、業界や経営に関する知識・経験・能力が十分か。
5.社外取締役の兼任状況は適切か。
6.社外取締役の就任期間は適切か。
第2 取締役会の運営に関する質問
1.取締役会の年間スケジュール、予想される審議事項について事前に決定されているか。
2.取締役会の開催頻度は適切か。
3.取締役会に提出される資料は内容・分量の観点で適切か(分かり易いか。網羅的か。十分に整理されているか。)。
4.取締役や監査役には、取締役会に提出される資料を事前に検討する時間が十分に与えられているか。
5.取締役会における審議時間は十分か(活発な、充実した議論が行われているか)。
6.取締役会議長の司会進行は適切か。
7.取締役会の審議中、社外取締役・平取締役が自由に発言できる雰囲気となっているか(社内取締役、特に役付取締役が社外取締役等の意見を積極的に聞き入れる雰囲気となっているか。)。
8.取締役会において監査役が自由に発言できる雰囲気となっているか。
9.取締役会に上程される議案の範囲・分量は適切か(他の会議体に権限を委譲すべき事項があるか。)。
第3.取締役会の議題に関する質問
1.取締役会において企業戦略の大きな方向性を示す議題は審議されているか。
2.取締役会の議題の選定は適切か。
3.取締役会の個々の議題に十分な審議時間が確保されているか。
4.取締役会における議題の提案時期は適切か。
5.取締役会における審議事項と経営陣に委任すべき判断事項との振り分けは適切か。
6.取締役会においては、代表取締役の後継者の計画に関して適切に議論・監督がなされているか。
7.取締役会においては、経営陣の報酬について適切に議論がなされているか。
8.取締役会においては、経営陣幹部の選任・解任について適切に議論されているか。
9.取締役会においては、中期経営計画について、十分な議論がなされているか。
10.取締役会においては、経営陣による適切なリスクテイクとなる議案が提出された場合にそれを支える雰囲気となっているか。
11.コンプライアンスや財務報告に係る内部統制に関する事項や先を見越したリスク管理体制の整備・運用にについて十分に議論されているか。
12.取締役会においては、当社の事業に影響する主要なリスクに関して十分理解し、議論できているか。
13.取締役会においては、関連当事者との間の利益相反が適切に管理されているでしょうか。
第4.取締役会を支える体制に関する質問
1.社外取締役を含む取締役は、不明点について、必要と考える場合には、会社に対して追加の情報提供を求める機会が適切に確保されているか。
2.監査役は、法令に基づく調査権限を行使することを含め、適切に情報入手を行う機会が確保されているか。
3.取締役・監査役は、必要と考える場合には、会社の費用において外部の専門家の助言を得る機会が確保されているか。
4.内部監査部門(監査室)と取締役・監査役との連携は確保できているでしょうか。
5.社外取締役・社外監査役の指示を受けて会社の情報を適確に提供できるよう社内との連絡・調整にあたる者の選任など、社外取締役や社外監査役に必要な情報を的確に提供するための工夫はなされているか。
6.独立社外者のみを構成員とする会合(独立社外取締役会を含む。)を定期的に開催するなど、独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有がなされているか。
7.個々の取締役・監査役に適合したトレーニングの機会の提供・斡旋やその費用の支援が適切になされているか。社外取締役・社外監査役を含む取締役・監査役は、就任の際には、会社の事業・財務・組織等に関する必要な知識を取得し、取締役・監査役に求められる役割と責務(法的責任を含む)を十分に理解する機会が与えられているか。また、就任後においても、必要に応じ、これらを継続的に更新する機会が与えられているか。
8.指名諮問委員会、報酬指名委員会の構成員、運営、答申は適切になされているか。
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7 取締役会評価に関するスケジュール
独立社外取締役会は、下記のとおり取締役会評価のスケジュールを設定した。OFSにおけるコーポレートガバナンスの評価・検証のための第三者委員会が平成28年3月下旬に調査報告書を提出することとされていたため、比較的スピーディーなスケジュールでした。
�@平成28年1月14日
独立社外取締役会による各取締役に質問票を配布(回答期限は同年1月29日)
�A平成28年1月29日〜2月12日
独立社外取締役会における質問票の集計・分析
�B平成28年2月12日
独立社外取締役会による経営陣を含む社内取締役に対するインタビュー
�C平成28年2月12日〜3月11日
独立社外取締役会による取締役会評価報告書(案)の作成
�D平成28年3月11日
取締役会における取締役会評価報告書の決議、取締役会評価の結果の概要の開示
8 取締役会評価の結果
取締役会評価の結果においては、OFSは、CGコードをはじめとするコーポレートガバナンスの要請を概ね満たしていると評価できるとされた。他方、問題点及び今後改善すべき点としては以下の事項が挙げられました。
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〇取締役会に提出される資料の適切性(CGコード4−12�@(iii))
現状は、内容・分量的に不十分なところが多い。取締役会に提出される資料の内容の分かり易さや分量の工夫や電子化の推進が求められる。
〇取締役会に提出される資料の検討時間(CGコード4−12�@(i))
定期的な議案・議題に関する審議書類の提出時期が遅いとの問題点がある。取締役会に提出される定期的な議案・議題に関する審議書類については、可能な限り十分検討が可能な時期(例えば取締役会の1週間前)に提出されることが望まれる。
〇中期経営計画(CGコード4−1�A)
当社の現在の中期経営計画は、外部のコンサルタントの協力を得て、現場からのボトムアップで作成したもので、詳細であるものの、総花的な感が否めない。また、取締役会で十分に議論して承認されたとも言えない。経営会議等でのフォローアップを見ても、実現可能性においても疑問のある事項も多い。
次回の中期経営計画(46期2019年度)からは、経営方針を達成するためにトップダウンの骨太の中期経営計画へと大幅に改善することが望まれる。
〇取締役・監査役へのトレーニングの機会の提供・斡旋(CGコード4−14、4−14�@)
当社においては、取締役・監査役へのトレーニングの機会の提供・斡旋は一応与えられているものの、新任の社外取締役・社外監査役が就任する際の引継ぎ体制(レクチャーや情報提供)が不十分であると評価される。
今後、新任の社外取締役・社外監査役が就任する際には、当社を理解するためのレクチャーや情報提供を充実することが望まれる。
取締役会評価の結果、以下の事項の見直しが行われた。いずれも、平成28年3月11日の取締役会の審議により、指名諮問委員会規程の改訂により規定されました。
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〇代表取締役社長の就任期間を原則として通算6年以内とすること。
〇独立社外取締役の就任期間を原則として通算6年以内とすること。
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今後、取締役会に望まれる積極的な提言としては、以下の事項が挙げられました。
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〇取締役会の構成員(監査役を含む。)の多様性の確保(CGコード4−11、4−11�@)
将来的には、海外進出やテーマに沿って、外国人や経営経験者の社外取締役を登用することも検討すべきである。
〇企業戦略の大きな方向性を示す議題(CGコード4、4−1)
今後は、より積極的に「企業戦略の大きな方向性」を示す議題が上程されてくることが望まれる。
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IV OFSの取締役会評価(外部評価)
平成28年3月29日に公表された、「当社におけるコーポレートガバナンスの評価・検証のための第三者委員会」の調査報告書(以下「第三者委員会調査報告書」という。)は、取締役会評価に関連する評価・分析及び提言も含むものであり、外部評価に該当するものです。
第三者委員会の委員は、当社と利害関係のない以下の外部専門家により構成されました。外部専門機関を明示する方がよいと判断し、平成28年7月12日付の「当社の取締役会評価の結果の概要(第3改訂版) _」では、下記も明示しております。
委員長_ 大仲 土和 弁護士(弁護士法人あしのは法律事務所 代表社員弁護士)
委_ 員_ 竹内 朗 弁護士(プロアクト法律事務所 代表)
委_ 員_ 宇澤 亜弓 公認会計士(公認会計士宇澤事務所 代表)
その観点で、OFSは、平成28年4月12日に「当社の取締役会評価の結果の概要(改訂版) 」を、同年6月13日に「当社の取締役会評価の結果の概要(再改訂版)」、同年7月12日に「当社の取締役会評価の結果の概要(第3改訂版)」を公表しました。
第三者委員会調査報告書は、取締役会に係るコーポレートガバナンスに関する事項として以下の提言をしています。
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1 業務執行役員に対するトレーニング
社内の業務執行役員の取締役としての職責に対する理解を深めるため、社内の業務執行役員に対するトレーニングを計画的かつ重点的に実施すべきである。
2 監督機能と業務執行機能の峻別
社外役員が監督機能に専念できるよう、監督機能と業務執行機能とを峻別し、業務執行に亘る事項は、社外役員に依存することなく、実施すべきである。
3 指名諮問委員会の本来的機能の発揮
後継者プランの策定・実施は時間を要するものであり、誰が執行役員、取締役あるいは代表取締役となるかは、その育成計画や選任基準も含め、平素より中長期的視点に立って議論を深めるべき極めて重要な課題なのであって、コーポレートガバナンスの中核部分であるといえる。かかる問題は、非公式な場で議論するのではなく、指名諮問委員会という公式な場において、中長期的な視点に立って、検討を開始すべきである。
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これらの提言に関して、OFSは以下のとおり取り組むこととしました。
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1 業務執行役員に対するトレーニング
当該提案につきましては、平成28年6月開催予定の第42回定時株主総会までに、業務執行役員に対するトレーニングプログラムを策定できるよう検討して参ります。
具体的には、平成28年5月25日に、全役員及び執行役員を対象として、東京証券取引所の公式eラーニングサービスを利用した学習の機会を設けました。
2 監督機能と業務執行機能の峻別
当該提言につきましては、取締役会において議論を重ね、執行業務に対する取締役会のモニタリングが弱まることのないよう監督機能と業務執行機能を峻別して参ります。
具体的には、当社が実施している社内規程の改訂や事務フローの構築等について、出来るだけ速やかに監督機能と業務執行機能を峻別して参ります。
また、平成28年6月28日に開催された当社第42回定時株主総会後は「社外の社内化」により、本提言の問題は解消されました。
3 指名諮問委員会の本来的機能の発揮
当該提言につきましては、コーポレートガバナンスの中核部分と再認識し、「独断専行ないし密室経営」及び形骸化とならないよう中長期的な視点に立ち取り組んで参ります。
具体的には、今期中にも、執行役員の人事考課に関する基準について指名諮問委員会で検討いたします。
平成28年5月12日及び同月22日に指名諮問委員会を開催し、役員及び執行役員の異動について審議いたしました。その結果を踏まえ、同月13日及び同月23日の取締役会で決議をいたしました(詳細については、同月13日付の適時開示「代表取締役および役員の異動に関するお知らせ」及び同月23日付の適時開示「取締役および執行役員の異動ならびに組織改編に関するお知らせ」をご覧ください。)。
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さらに、平成28年6月28日の第42 回定時株主総会の後に開催された臨時取締役会においては、コーポレートガバナンス・コードへの対応を念頭に置き、取締役会資料を事前に十分検討する時間を設けるため、以下の運用ルールが採用されました(CGC補充原則4-12-1関連)。
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1 5日前ルール
取締役会(臨時取締役会を含む)に上程する議題、及び議案資料については、取締役会開催日から5日前の正午までに、総務部宛にEメール又は資料現物を提出することとする。
資料が5日前までに間に合わない場合でも、議題については5日前までに総務部へ通知することとする。
期限を過ぎた議題については、取締役会当日に議題として取り上げるかについて審議する取り扱いとする。
なお、締切前日頃を目途として、総務部からEメールにてリマインダーを流すものとする。
2 3日前ルール
取締役会(臨時取締役会を含む)資料を役員等に電子配信するのは、3日前の正午(土日祝に該当する場合は、4日前もしくは2日前)を予定する。
電子配信後の資料の追加は、原則として受け付けない扱いとするが、資料の性質上間に合わないという特段の事情がある場合には、別途対応することとして、事前に連絡をすることとする。
また、原則として電子配信以外の方法による資料配布は予定していないが、紙媒体での事前配布を要望する場合は、その旨個別に連絡するものとする。
なお、当面の間、取締役会当日に紙媒体での資料を準備するが、現在ペーパレス取締役会の実現を目指した取り組みを開始している。
3 議事録の確認
議事録についても、上記2の3日前ルールに従って前回の取締役会議事録を配信することとし、役員は前回取締役会の発言内容について事前に確認するものとする。
議事録については、次回取締役会終了時に、役員全員が押印する運用とし、修正意見、削除意見がある場合は、配信後次回の取締役会の終了の時までに、提出することとする。
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V コーポレートガバナンス報告書上の開示の工夫
OFSが平成28年7月6日に開示をしたコーポレートガバナンス報告書においては、取締役会評価について下記のとおり開示をいたしました。
独立社外取締役会が主体として毎事業年度行う自己評価であることを開示しております。
OFSの「取締役会評価の結果の概要」は詳細であるため既に行った「取締役会評価の結果の概要」については、コーポ—レートガバナンス報告書中には記載せず、リンク先のURLを付けて閲覧をできるようにしました。
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【補充原則4-11-3 取締役会の評価】
当社では、独立社外取締役会が主体となって、前年度の取締役会の運営に関し、取締役会の実効性の分析・評価を実施し、毎事業年度における評価の結果及び改善・強化の方向性についてその概要を公表しております。その評価の報告を踏まえ、取締役会がその機能を最大限に発揮できるよう体制の整備の改善及び強化を図っております。
既に行った取締役会評価の結果の概要については下記をご覧ください。
〇当社の取締役会評価の結果の概要について(平成28年3月11日)
http://www.ohsho.co.jp/webcm/pdf/20160311.pdf
〇当社の取締役会評価の結果の概要(改訂版) (平成28年4月12日)
http://www.ohsho.co.jp/webcm/pdf/20160412.pdf
〇当社の取締役会評価の結果の概要(再改訂版) (平成28年6月13日)
http://www.ohsho.co.jp/webcm/pdf/20160613.pdf
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VI ホームページ上の工夫
「餃子の王将」のホームページのトップの上部のバナーには、「当社の取締役会評価の結果の概要について」とのバナーをつけて、閲覧ができるようにしております。
VII 王将フードサービスの取締役会評価への評価
OFSの行った取締役会評価に対しては、以下のとおり肯定的な評価が寄せられています。
『取締役会評価の実施手順、結果の詳細、各取締役の具体的な回答内容等を詳細に公表しており、他社において今後取締役会の実効性に関する評価及びその結果の概要の開示を行うにあたり、大いに参考になると考えられる。』(「王将フードサービス、平成28年3月11日付で取締役会評価の結果の概要を公表」別府文弥弁護士(岩田合同法律事務所)商事法務ポータルサイト2016年3月23日号)
『会計士の先輩が「王将フードサービス」の取締役会評価を一読してみるよう勧めていたので読んでみました。細かい話は申し上げませんが、54ページにもわたり、洗練された形式とは言えないかも知れませんが必要な事項が具体的に詳細に記載され、独立社外取締役会の方々のいい意味での手作り感が感じられました。どのようなことを検討したのか、検討点での全体的な意見はどうか、検討した結果の問題点の抽出、その解決提言ときっちり記載されているので非常に読んでいて真摯さが伝わってきました。特に中期経営計画で「総花的」ときっぱりと切り捨てているあたり非常に画期的だと思いました。社外取締役の方々を見ても社労士(人事)、弁護士(法務)、会計士(財務、経理)とバランスをとった布陣で有名人というよりも実務力重視の布陣で好感が持てます。外部の高いコンサルなどを使わなくても取締役会評価はできる好例だと思われます(コンサルタントとしてはとしては使っていただきたいですが・・・・)。』(「取締役会評価はなぜ進まないのか」川井隆史公認会計士)
『�M王将フードサービスが、取締役会の実効性評価について、かなり詳しい開示をしていました。質・量ともに、現時点では最大限のものではないかと個人的には思います。ですから、この開示を参考に、ここから適当な部分を参考にして自社に取り入れていく、というのが当面の対処として近道ではないかと思います。それで実施してみて、経験してから自社独自のやり方を徐々に加えていけばいいのではないかと思います。例えば、アンケートの質問票も開示していますが、これなど、そのまま他の会社で使えるものです。』(インターネット上の評価)
VIII 取締役会評価の課題
OFSが行った取締役評価から見えてきた「自己評価」と「外部評価」のそれぞれの長所と課題は以下のとおりです。
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自己評価
外部評価
長所
●社内に精通している者による評価となり、会社の実態に照らして齟齬が生じ難い。
●コストがかからない。
●機動的に速やかな評価ができる。
●独立性が高いと評価されやすい。
●独立社外取締役等に対する客観的な評価も可能。
課題
●独立した観点での評価では外部評価に及ばないと見られる懸念(総務部等の会社の事務局が取りまとめをする場合)。
●独立性があり、かつ、評価能力のある独立社外取締役等が確保できるか。
●評価の主体(独立社外取締役等)が客観的に自己の評価をするのは難しい。
●社内の事情をよく知らない者による評価で、誤解された評価がなされる可能性がある。
●コストがかかる(特に、実質的に踏み込んだ調査をすると多額のコストがかかる)
●調査に時間がかかる可能性がある。
●会社との利益相反の観点を留意する必要がある。(外部機関について開示をすることが望ましい。)
●過去の事例が乏しく、外部評価機関の専門性・能力が不明
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OFSにおける取締役会評価は、「自己評価」「外部評価」共に、詳細かつ可視化されたものであるので、他社が今後これを実施する上でも大いに参考になるものと考えられます。
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(略歴)
渡邉 雅之(弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士)
東京大学法学部卒、株式会社王将フードサービスの社外取締役(平成26年6月より現任)、日特建設株式会社の社外取締役(本年6月より現任)。
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