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2017.12.03
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【顧客本位の業務運営に関する原則・第4回】「顧客本位の業務運営に関する原則」はガバナンスの問題として捉えるべき

【執筆者:渡邉雅之
 渡邉雅之弁護士が執筆した『銀行における「顧客本位の業務運営に関する取組み方針」の概要』が週刊金融財政事情2017年12月4日号に掲載されました。
【連載】
【顧客本位の業務運営に関する原則】金融庁の評価する成果指標(KPI)
【顧客本位の業務運営に関する原則・第2回】各金融機関におけるKPIの紹介
【顧客本位の業務運営に関する原則・第3回】『フィデュ―シャリー・デューティー』という用語を用いるべきではないか?
【顧客本位の業務運営に関する原則・第4回】「顧客本位の業務運営に関する原則」はガバナンスの問題として捉えるべき
【顧客本位の業務運営に関する原則・第5回】利益相反の適切な管理

今回は、「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下「本原則」といいます。)はガバナンスの問題として捉えるべき、というお話です。

本原則は、経営や営業のあり方を問うものであり、コンプライアンス部門のみで取り組むのでは不十分です。経営陣が行内・社内全体のガバナンスの問題として捉える必要があります。この点、2009年6月に導入された銀行法や金融商品取引法の利益相反管理体制は、コンプライアンス部門のみの問題として捉えられがちでした。

もっとも、本原則をガバナンスの問題として正面から捉えて、取組方針や実施状況(アクションプラン)に記載している銀行は多くありません。
以下では、本原則をガバナンスの問題として捉えている銀行(銀行持株会社グループ)の取組方針・実施状況における記載例を紹介いたします。
1 みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループは、取組方針や実施状況(アクションプラン)において、本原則をガバナンスの問題として正面からとらえています。
同グループは、「フィデュ―シャリー・デューティーに関する取組方針」を本原則の適用が開始された2017年3月30日よりも前に公表していたため、金融庁が求めている本原則に関するKPIに関しては公表していないという点で、他のメガバンクグループと比べて遅れている点もありますが、ガバナンスの問題としている点は高く評価できます。
1.ガバナンス
・ みずほフィナンシャルグループは、持株会社において、グループの経営の自己規律とアカウンタビリティが機能する企業統治システムを構築しております。
資産運用関連業務におきましても、持株会社とグループの運用会社、グループの販売会社と運用会社との間の適切な経営の独立性確保に向けた態勢を構築します。
・ 「〈みずほ〉のフィデューシャリー・デューティーに関する取組方針」に基づき、持株会社およびグループ各社において実践に向けた具体的なアクションプランを策定・公表するとともに、コンプライアンス部門はその遵守状況について取締役会等に定期的に報告を行います。
みずほフィナンシャルグループ
・持株会社とグループの運用会社、グループの販売会社と運用会社との間の適切な経営の独立性確保に向けた態勢の構築を徹底いたします。
・持株会社およびグループ各社により策定されたアクションプランについて、その遵守状況を取締役会等に定期的に報告いたします。
みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券
・グループの運用会社等との間の適切な経営の独立性確保に向けた態勢を構築します。
・「<みずほ>のフィデューシャリー・デューティーに関する取組方針」に基づき、実践に向けた具体的なアクションプランを策定・公表するとともに、コンプライアンス部門はその遵守状況について取締役会等に定期的に報告を行います。
みずほグローバルオルタナティブインベストメンツ
・グループの販売会社等との間の適切な経営の独立性確保に向けた態勢を構築します。
・「<みずほ>のフィデューシャリー・デューティーの実践に関する取組方針」に基づき、実践に向けた具体的なアクションプランを策定・公表するとともに、コンプライアンス部門はその遵守状況について定期的に確認し取締役会等に定期的に報告を行います。
 4.ガバナンス強化
(1) お客さまの利益を第一に考える組織体制を一層強化すべく、運用会社としての独立性を高めた業界最高水準のガバナンス態勢を構築します。
(2) 新商品の開発に係る意思決定は、コンプライアンス部門を含めた透明性の高いプロセスと客観的な評価に基づき実行します。
みずほ信託銀行
・お客さまのニーズやパフォーマンス向上に資する運用商品の導入と強固な管理体制を構築します。
・スチュワードシップ・コードにのっとり、責任ある投資家として更なる取組みの高度化に努めます。
・お客さまのニーズに適う商品開発のため、透明性の高い新商品開発プロセスの維持・向上を図ります。
みずほ証券
・お客さまの利益を第一に考えた運用体制の構築や内部統制の強化を推進します。
・お客さまの利益を第一に考え、透明性の高いプロセスに基づいて、商品開発を実行します。

2.ソニー銀行
ソニー銀行は、「お客さま本位の業務運営方針」において、本原則をガバナンスの問題としております。
5. お客さま本位の業務運営を遂行するためのガバナンス体制の整備
 
行動指針:お客さま本位の業務運営を遂行するためのガバナンス体制の整備
私たちは、お客さまにとって価値のある商品・サービスを創造するために、適切な動機づけのための枠組みや適切なガバナンス体制を整備します。
 
アクションプラン
「顧客本位の業務運営に関する原則」に係る当社方針およびアクションプランの取り組み状況について、コンプライアンス部門は取締役会へ定期的に報告を行うとともに、公表を行います。また、お客さま対応部門は、当社方針およびアクションプランの取り組み状況に係るお客さまからの苦情・要望等の状況について、定期的に、役職員へ周知を図るとともに、取締役会へ報告を行います。
報酬・業績評価においては、預かり資産の増加や顧客満足度に関する項目を評価項目に取り入れるなど適切な動機づけの枠組みを引き続き取り入れて参ります。
お客さま本位の業務運営が当社においてより定着するように、引き続き役職員の教育研修にも努めて参ります。

3.めぶきフィナンシャルグループ
めぶきフィナンシャルグループ(足利銀行・常陽銀行)は、「フィデューシャリー・デューティーに関する基本方針」において、以下のとおりガバナンスについて言及しております。
(4) お客さま本位の業務運営態勢の確保に向けたガバナンス体制の整備
本方針の実践・定着状況の把握・評価、より優れた取組みに向けたモニタリングの実施、教育研修機会の充実など、お客さま本位の業務運営を確立するための体制を整備してまいります。

4.南都銀行
南都銀行は、『「お客さま本位の業務運営」にかかる取組方針ならびにアクションプラン』において、以下のとおり、本原則をガバナンスの問題として捉えています。
6.お客さま本位を徹底するためのガバナンス(企業統治)態勢の構築
(1)真にお客さま本位となる取組を徹底できるよう、社内取締役および執行役員、各部室長を構成メンバーとする業務運営会議において、お客さま本位の業務運営について、定期的に協議します。
(2)関係各部が、お客さま本位の業務運営にかかる取組方針・アクションプランの遵守をフォロー・管理するとともに、監査部門が、その遵守状況を監査します。
【アクションプラン】
① 業務運営会議では、お客さま本位の業務運営にかかる取組方針を遵守するために必要な施策を協議します。お客さま本位の業務運営にかかる議事内容については、取締役会に定期的に報告し、社外取締役等の意見・提言を定期的に受け入れ、対応します。
② 関係各部が、お客さま本位の業務運営にかかる取組方針・アクションプランの遵守をフォロー・管理するとともに、監査部門が、その遵守状況を監査します。

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