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2016.04.29
NEWS

改正個人情報保護法ニュース⑥:利用目的の制限の緩和

(執筆者:渡邉雅之
改正個人情報保護法ニュース①:改正の概要とスケジュール

改正個人情報保護法ニュース②:要配慮個人情報の取得制限と本人確認書類の取得に際しての実務上の影響
改正個人情報保護法ニュース③:EUのデータ保護指令の要請による改正
改正個人情報保護法ニュース④:匿名加工情報(ビックデータ)に関する改正
改正個人情報保護法ニュース⑤:個人情報の定義の拡充

今回の個人情報保護法の改正で唯一の規制緩和は「利用目的の制限の緩和」です。

個人情報保護法においては、個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできるだけ特定しなければなりません(保護法15条1項)。
そして、個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならないこととされています(保護法16条1項)。

個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはなりません(保護法15条2項)。本人から利用目的の追加のために事前の同意を得る(保護法16条1項)のは事実上困難です。そこで、利用目的の変更の手段が実質上、利用目的の追加の手段として機能しています。マイナンバー(個人番号)の利用目的の追加は本人の同意があっても認められないので、「利用目的の変更」として対処しているのが実態です。

上記のとおり目的外利用における本人の事前同意(保護法16条1項)が、パーソナルデータの「利活用の壁」となっているため、事実上の利用目的の追加として機能している「利用目的の変更」をより容易にすることが考えられました。

改正個人情報保護法15条2項は、『個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。』として、「相当の関連性」が「関連性」に緩和されることになります。すなわち、事実上の因果関係があれば「利用目的の変更」、ひいては事実上の「利用目的の追加」が認められることになります。

なお、個人情報取扱事業者は、取得した利用目的を変更した場合には、本人に通知または公表をする必要がある(保護法18条3項)という点については変更はありません。

このような規制緩和に関しては、「本人の事前の同意」により、「個人の権利利益の侵害を未然に防止する」という意義を軽視するものとして批判もあります。
また、2018年から発効するEUのデータ保護規則においては、本人の同意の意義がより重要となる中で、このような利用目的の変更(事実上の利用目的の追加)を容易に認める改正で、果たして、EUから「十分性の認定」を得られるのかという不安もあるところです。

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