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2016.02.13
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【改正個人情報保護法ニュース②】要配慮個人情報の取得制限と本人確認書類の取得に際しての実務上の影響

(執筆者 渡邉 雅之)

【前回までのニュース】
改正個人情報保護法ニュース①:改正の概要とスケジュール

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今回は、「要配慮個人情報」の取得制限と実務上の影響について説明いたします。

「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいいます(改正保護法2条3項)。
例えば、本人の「人種」、「信条」、「社会的身分」、「病歴」、「犯罪被害を受けた事実」、「前科・前歴」などがこれに該当します。

個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはなりません(改正保護法17条2項)。
① 法令に基づく場合
② 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
③ 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
④ 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
⑤ 当該要配慮個人情報が、本人、国の機関、地方公共団体、保護法76条1項各号に掲げる者その他個人情報保護委員会規則で定める者により公開されている場合
⑥ その他前各号に掲げる場合に準ずるものとして政令で定める場合

「要配慮個人情報」については、金融機関に関しては、金融庁の「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン 」において、以下のとおり、機微(センシティブ)情報として以下のとおり規制が置かれているところです。

第6条 機微(センシティブ)情報について
1  金融分野における個人情報取扱事業者は、政治的見解、信教(宗教、思想及び信条をいう。)、労働組合への加盟、人種及び民族、門地及び本籍地、保健医療及び性生活、並びに犯罪歴に関する情報(以下「機微(センシティブ)情報」という。)については、次に掲げる場合を除くほか、取得、利用又は第三者提供を行わないこととする。
① 法令等に基づく場合
② 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合
③ 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のため特に必要がある場合
④ 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合
⑤ 源泉徴収事務等の遂行上必要な範囲において、政治・宗教等の団体若しくは労働 組合への所属若しくは加盟に関する従業員等の機微(センシティブ)情報を取得し、利用し、又は第三者提供する場合
⑥ 相続手続による権利義務の移転等の遂行に必要な限りにおいて、機微(センシテ ィブ)情報を取得、利用又は第三者提供する場合
⑦ 保険業その他金融分野の事業の適切な業務運営を確保する必要性から、本人の同意に基づき業務遂行上必要な範囲で機微(センシティブ)情報を取得し、利用し、 又は第三者提供する場合
⑧ 機微(センシティブ)情報に該当する生体認証情報を本人の同意に基づき、本人確認に用いる場合
2  金融分野における個人情報取扱事業者は、機微(センシティブ)情報を、前項に掲げる場合に取得し、利用し、又は第三者提供する場合には、同項に掲げる事由を逸脱 した取得、利用又は第三者提供を行うことのないよう、特に慎重に取り扱うこととする。

今回の改正は、法令で明文で個人情報取扱事業者の義務として定められたことから、全ての事業者に関して適用されます。
前回説明したとおり、EUデータ保護指令で十分性の認定を得るための改正です。

要配慮個人情報の取得制限に関する規制の新設は、今回の改正の中でも実務上の影響が一番大きいものの一つです。

要配慮個人情報(機微情報)を取得するに際して本人の同意を得るのは難しいですし、不要な情報を取得すべきではないので、本人確認書類において要配慮情報が記載されたものがある場合、マスキング(塗りつぶし)をする必要がでてきます。

なお、本人確認書類においては、それぞれ以下のような要配慮個人情報があり、塗りつぶしをすることを検討する必要があります。
以下の取扱いを特にご注意ください。

本人確認書類 要配慮情報に該当するもの 備考
個人番号カード 「臓器提供意思確認欄」(表面) 「個人番号」の記載されている裏面のコピーは取得すべきでない。「個人番号」の記録も避けるべき
(番号法で取得制限)
通知カード 番号法上の取得制限の観点で、そもそも本人確認書類として用いるのは適当でない。
住民票の写し 「本籍」、「国籍」、「出生地」、「住民票コード」 「個人番号」「住民票コード」が記載されている場合はこれらの記載もマスキングすべき。(「個人番号」は番号法で取得制限、「住民票コード」は住民基本台帳法で取得制限)
運転免許証 「免許証の条件等欄」
「臓器提供意思確認書欄」
 
パスポート 「本籍」、「国籍」  
身体障害者手帳 「障害名」、「障害等級」、「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」  
健康保険証 「通院歴」、「臓器提供意思確認書欄」  
年金手帳 「基礎年金番号」の記載されているページのコピーを取った場合は「基礎年金番号」の記載をマスキングすべき。(「基礎年金番号」は国民年金法で取得制限)
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