トピックス

2016.01.18
NEWS

マイナンバー情報:会社・金融機関はもっと個人番号の収集について努力を、従業員等は個人番号の提供に協力を

(執筆者 渡邉雅之

会社や金融機関が個人番号を求めても、これを拒む従業員や顧客が続出していると聞きます。弊職のところにも、個人の方から「会社や金融機関に個人番号を提供しないでよいですよね?」という電話が時々かかってきて回答に窮してしまうことがあります。

では、まず、事業者や金融機関が個人番号を収集することは義務でしょうか?番号法の関連する規定は以下のとおりです。
  • 番号法の6条においては、事業者の努力義務として、『個人番号及び法人番号を利用する事業者は、基本理念にのっとり、国及び地方公共団体が個人番号及び法人番号の利用に関し実施する施策に協力するよう努めるものとする。』と規定されています。
  • 番号法9条3項においては、事業者等が個人番号関係事務実施者として行うべき個人番号関係事務が定められています。
  • 番号法14条1項においては、事業者等は個人番号関係事務実施者として、「個人番号利用事務等を処理するために必要があるときは、本人又は他の個人番号利用事務等実施者に対し個人番号の提供を求めることができる。」(※個人番号利用事務等は個人番号関係事務を含む)と定められています。
以上の規定からすると、事業者や金融機関は、番号法上は、少なくとも努力義務として、従業員や顧客から個人番号を収集する義務があると考えられますが、国税関係の法定調書等については、国税通則法や所得税法等でそれを作成し提出する義務があるので、法的義務があると考えられます。雇用保険手続についても、個人番号をハローワークに届け出る法的根拠を、 当初は、番号法に基づく努力義務としていた整理を、雇用保険法令に基づく義務と整理され直しました(雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A )。

他方、番号法においては、個人番号を提供する側の従業員や顧客の義務については一切規定がされていません。

この点については、国税庁や厚生労働省のQ&Aには以下のとおり、従業員や顧客等から個人番号の提供を受けられない場合には、個人番号の記載は法律で定められた義務であることを伝えて提供を求め、それでもなお提供が受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどすれば、税務署やハローワーク等として、調書や届出書等を受け取らないことはないとされています。

〇国税庁FAQ

Q1-3 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。

(答)

法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。

それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。

経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。


雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A 
追加Q11 従業員から個人番号の提供が受けられなかった場合は、どのように対応すればよいか
A 個人番号の提供が受けられなかった場合は、提供を求め た記録等を保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしてお いてください。 経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、ある いは、提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

残念ながら、上記のQ&Aについては、多くの従業員や顧客も知られることになり、これを盾として個人番号を提供しない従業員や顧客も多くいるようです。また、企業の方も、提出しない個人に対して、一回督促をして経緯を残しておけば足りる、として形式的な督促のみしかしないところもあるようです。

しかしながら、このような状況では、「
行政分野におけるより公正な給付と負担の確保する」(番号法1条)という番号法の理念が実現できません。

会社や金融機関においては、上記の国税庁や厚生労働省のQ&Aにかかわらず、マイナンバー(個人番号)の収集を重要命題と考え、可能な限り、自社の従業員や顧客に対して、マイナンバー制度の意義について説明し、1回だけではなく、可能な限り何回も個人番号の提供を求めるのが望ましいでしょう。マイナンバーの収集について、「80%」「90%」と目標を立てることも重要です。私がお手伝いをしている大手金融機関は既に、従業員・扶養家族の個人番号の収集率が99%を超えております。また、私がお手伝いしている外食企業では、パート・アルバイトが多く、収集が困難な中、髙い目標を立てて、既に80%以上の収集をしているところもあります。

会社としては、就業規則において、入社時の提出書類として通知カードや個人番号カードの写しについて規定するとともに、個人番号の提供について服務規律上の義務として定めるのが望ましいでしょう。

金融機関としては、既存の顧客は難しいとしても、新規の顧客については、契約締結自由の原則により契約を締結しないことも可能ですので、個人番号を提供しない以上、契約の締結を拒否することも考えられます。

国においても、このような状況に鑑みて、番号法を改正して、個人の側に、会社や金融機関等の個人番号関係事務実施者への提供を義務付ける規定を置くことや、個人番号を提供した者への税・社会保障上のインセンティブを与えたり、個人番号を合理的理由なく提供しない者(海外等にいて個人番号のない者を除く)に対してディスインセンティブを与えるような制度設計を考えるべきでしょう。

個人番号を提供する側の国民の側においても、マイナンバー制度の意義について今一度理解をして、国、地方公共団体、事業者への個人番号の提供に協力すべきでしょう。


*************************************************************
弊事務所では、平成27年(2015年)から利用が開始するマイナンバー制度に対応する体制構築支援サービスを提供しております。
 
具体的には下記のサービスを提供しております。
〇マイナンバー制度に関する各種質問への対応
〇マイナンバー制度に関するコンサルティング
〇社内のマイナンバー対応に関する会議への出席・助言
〇マイナンバー制度に関する規程類の作成の支援(別添をご参照ください。)
〇社内におけるマイナンバー制度に関する講演
 
上記の個別のサービスも提供しておりますのでご相談ください。
 
詳しくは下記にご連絡ください。
 
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士 渡邉 雅之
(東京事務所)〒100-0006
東京都千代田区有楽町1丁目7番1号
有楽町電気ビルヂング北館9階