(執筆者:弁護士 福田泰親)
【Q.】
当社は、コスト構造の見直しの一環として、下請先へ支払う代金について2%の値下げを行うこととしました。下請業者との協議の結果、値下げが了承され、また、改定後の価格を先月の発注分に遡って適用することで合意しました。
下請法では、下請代金の減額が禁止されていると聞きましたが、当社は下請業者との協議を経て減額を合意し、また契約書も作成していますので、下請法には抵触しないという理解でよいでしょうか。
【A.】
1.はじめに
平成29年度に行われた公正取引委員会による下請法違反行為に対する勧告件数は合計9件で、その対象となった違反行為類型はいずれも「下請代金の減額」です。また、指導件数(実体規定違反)は合計5778件で、その10.6%(611件、第3位)がやはり「下請代金の減額」です。
このように、「下請代金の減額」は、下請法違反行為のなかでも処分事例が多い類型の1つですので、慎重な検討が必要です。
2.下請代金の減額の禁止とは